昔々ひとりの神様が、ある決定をしました。
「新年の挨拶をしに来なさい。
そして私の所に来た順番に1番から12番目まで
動物を決めるのだ。
その12の動物には、12年に1度、
“自分の(動物の)年”を与えよう」
どの動物もその話を聞いて、我先にと言わんばかりに神様への挨拶に向かいました。
何しろ、その年の主役が自分たちとなる、それはずいぶんな名誉でしたから。
そして、1着のネズミ、2着の牛、3着の……と、12着のイノシシまで決まり、
それらの順番が、今日でいう「干支」となったのです。
そして、13番目に到着したのは、カエルの親父さんでした。彼は家族や彼の一族に見送られ、期待をいっぱい背負ってきたのです。
「神様、どうか私も入れて下さい。
家族や一族が待っているのです」
しかし、どんなに頼み込んでも、神様はその願いを聞いてはくれませんでした。
カエルの親父さんは仕方なく、とぼとぼと帰っていきました。
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この物語を、何人かの中学生(3年生)に話した。するとその中の1人から、意外な言葉が飛び出てきた。
「僕は、13番目はイタチだって聞いたよ」
彼の話によると、こうだ。
13番目に到着したのはイタチでした。悔しい彼は、神様に懇願しました。
「神様、どうか僕も入れて下さい」
そんなイタチを哀れに思った神様は、こう言いました。
「では、こうしよう。干支は既に12と決まっているから、
今更変えることはできない。
しかしイタチよ、お前は
『月の一番最初』にしてやろう」
以来、月の一番最初の「一日」を「ついたち」と呼ぶ様になったのです。
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一日
‥‥‥ ついたち ‥‥‥ ついたち ‥‥‥ つイタチ。
それに気付いたとき、私は大爆笑をしてしまてましたよ。
そーかそーか、そーゆーことか。
確かにこっちの方が、カエルよりもずっと理に適っているじゃないか!
神様も、そんなに無慈悲ではないし、しかしながら情に流されて決まりを破っている事もない。
なんて素敵な
判断なのだろう!!
「13番目はカエル」‥‥‥ あれを聞いたのは、かれこれ15年くらい前の話。記憶もだいぶ、曖昧になっていると思います。
しかし逆に言えば、それを15年間ずっと信じ続けてきたコト。給食を取りながら耳を傾けて聞いた、あの校内放送。
聞きながら思い浮かべた光景。その中にはハッキリと、
家族のため、一族のためと頑張った、
カエルの親父さんの姿があります。
今更、それを完全に否定することはできません。
私は忘れません。つーか忘れられません。
そこに、頑張ったカエルがいたということを ‥‥‥(笑)。
‥‥‥ けど、「カエル年」って
イヤだよな ‥‥‥(大笑)。
「イタチ年」も大概どーかと思うが。
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