「そうだね 兄さん そうだね」
「そうじゃない キルヒアイス
 そうじゃない」

【出典】アニパロコミックスか同Jr.か ‥‥‥(うろ覚え)

 

 さぁ、これは ‥‥‥ どこから説明したものか(笑)。

 まずは出典から。これは1718年くらい前、とある雑誌の読者投稿ページに掲載されたネタです。

 雑誌名はアニパロコミックスだったか、アニパロJr.だったか忘れましたが、コーナーの趣旨は「近所の駅の掲示板に、こんな落書きがありました〜(笑)」というのを紹介するというもので。つまり今回は、「とある駅の掲示板に、この2つの台詞が書いてあった」というネタだったのです。

 しかし、『駅の掲示板』ってところが時代を感じさせる代物ですねぇ(今だったら携帯やメールで済むものだし)

 では、この台詞を個々に説明していきましょう。というのも、これは「キルヒアイスとその兄の会話」ではないからです。つまり、実はこのつの台詞、既成の『会話』ではなく、別々のマンガ(小説)のキャラの台詞を組み合わせたものなんです。

 

 

 まず、「そうだね 兄さん そうだね」
 これはあるアニメソングの歌詞です。『聖闘士星矢ヒット曲集IIに収録されている『ネビュラチェーン〜兄弟の絆』という歌の歌詞、そのサビがこんな感じです。

♪ネビュラチェーン ネビュラチェーン 魂の呼び声こそ
 ネビュラチェーン ネビュラチェーン 兄弟の絆なのさ 
 そうだね 兄さん そうだね♪

 歌っているのは、そのキャラの声優さんではありません。まだ当時、第次声優ブームの一歩手前で、声優さんが歌うことはあまり多くなかったんです。そして歌詞はキャラクターをイメージしたもので、と〜〜ってもベタベタな内容でした(上記の歌詞を見れば言わずもがなですね/笑)。

 さて、この『ネビュラチェーン』。分かる人は分かると思うのですが、何せとても古いので(最近PS2でゲーム化したとはいえ)、分からない人のために説明しますと。
 この曲は、『聖闘士星矢』アンドロメダ瞬というキャラのイメージソング。この瞬というキャラは、兄・一輝をこの上なく慕っている、いわばブラコン(禁句)。そして『ネビュラチェーン』(星雲鎖)というのは瞬の武器で長い鎖(かなり厳密に言えば武器とは違うらしいのですが)で、簡単に言えば、その本の鎖を投げて攻撃したり、回して自分の身を守ったりたりする道具です。

 さて、次は「そうじゃない キルヒアイス そうじゃない」
 こちらは田中 芳樹先生の小説『銀河英雄伝説』の主人公・ラインハルト=フォン=ミューゼル(当時はまだローエングラムではなかったはず)の台詞です。

 この台詞を読んだのは前述の投稿を見た後だったので、けっこう真面目なシーンだったのにやたら笑えてしまったのを憶えています。コミックスでもこの台詞は登場したのですが、アニメ版でこの台詞を聞いた記憶がないのが残念(恐らく、本当はあったのでしょうけれど)。

 

 で、一見殆どつながりがないように思えるこのつのフレーズ、ただの語呂で組み合わさっているのかと思いきや。
 実は、アニメ版での声優さんが同じなんです。アンドロメダ瞬もラインハルト=フォン=ミューゼルも、声は同じ堀川 りょう(当時は「堀川 亮」)氏。とはいえ、気付いたのはその投稿を見てから数年後ですが(遅ッ)。

 

 それにしても、何で今更そんな古いフレーズを思い出してしまうかというと。

 私が今の職場で、朝、出勤し職場に着いて一番最初にする仕事の一つに、来客用駐車場出入り口のチェーンをはずす、というのがあります。『聖闘士星矢』が未だに大好きな私はとにかく、

あのくらいの太さの鎖を手にすると、
「ネビュラチェーン!」と叫んで鎖を放りたくなるのです。

 ‥‥‥ イヤさすがに放ったことはありませんが、重力に従って自動的にジャラジャラと穴に下りていく鎖の様子がネビュラチェーンのようで♪(え)。そして、そんなこんなで「ネビュラチェーン」の曲を思い出し、表題のフレーズに達する訳です。

 

 最初に申しましたとおり、私がこのフレーズを初めて目にしてから15年以上の歳月が流れています。最初にこのフレーズが書籍などで登場したのだと、もっと前でしょう。

 しかし、『ネビュラチェーン 〜 兄弟の絆』を作詞したMAKE-UPの人も、『銀河英雄伝説』を書いた田中 芳樹先生も、あのネタを投稿した人も、まして何処かの駅の掲示板にあのフレーズを書いた人も、こんなところでこんな形で憶えられているなんて、まさか想像すらできないでしょうねぇ ‥‥‥(私も今になって思い出すとは思わなかった ‥‥‥)。