干支物語。 

 

 昔々ひとりの神様が、ある決定をしました。
「新年の挨拶をしに来なさい。
 そして私の所に来た順番に
 1番から12番目までの動物を決めるのだ。
 その12の動物には、12年に1度、
 “自分の(動物の)年”を与えよう」

 どの動物もその話を聞いて、我先にと言わんばかりに神様への挨拶に向かいました。
 何しろ、その年の主役が自分たちとなる、それはずいぶんな名誉でしたから。
 そして、1着のネズミ、2着の牛、3着の……と、12着のイノシシまで決まり、
それらの順番が、今日でいう「干支」となったのです。……

 『干支』、つまり十二支が決まった経緯は、確かこのような話だったように思います。

 私は小学生中学年の頃、いわゆる‘お昼の校内放送’というヤツで、この物語の朗読を聞き、その時思い描いた光景は、今でも脳裏に焼き付いています。

 この手の昔話は、大体の場合、どこか教訓めいていたり、若しくは、今では何の気なしに使っている言葉や習慣の期限であったりしますよね。『干支物語』はそのうちの後者、つまりに当てはまると思います。
 しかし、エピソード一つ一つを見ると、何とも教訓的といえる話も、やはりあったりして。

 このエピソード、有名なのはおそらく、これらの2つではないかと。

  ●ネコが干支に入っていない理由
  ●小さなネズミが、何故一番になり得たか。

 どちらの話も、一見習慣へのこじつけの様でもありますが、そこには教えも隠されています。

 ネズミは賢く、したたか。
 無論そんなネズミのような人物は、今の世では
「お前、友達なくすぞ‥‥‥ι」ですが(笑)。

 したたかと言えば、「カラス」も仲間に入りそうなんですが、何故か十二支にはいませんね。
 まあ誰も“カラス年”なんて、なりたかないだろうけど(笑)。そうかと思えば、龍(辰)なんて空想上の動物も入っているし。

 この物語は、どうせ後世のこじつけでしょう。
 けれど本当に、一体何故、こんな動物が選択されたのだろう。謎は深まるばかりです(笑)。

 

  

 

そんなものかと、思いつつ。

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