干支物語〜蛇足。 

  

 

 昔々ひとりの神様が、ある決定をしました。
「新年の挨拶をしに来なさい。
 そして私の所に来た順番に
 1番から12番目までの動物を決めるのだ。
 その12の動物には、
 12年に1度、“自分の(動物の)年”を
 与えよう」

 どの動物もその話を聞いて、我先にと言わんばかりに神様への挨拶に向かいました。
 何しろ、その年の主役が自分たちとなる、それはずいぶんな名誉でしたから。
 そして、1着のネズミ、2着の牛、3着の ‥‥‥ と、12着のイノシシまで決まり、
 
それらの順番が、今日でいう
 「干支」となったのです。

 

 

 

‥‥‥では、13着は誰だったのだろう。

 

 

 その謎を考えるより以前に、私は答えを聞いてしまったんですけれどね。
 前回お話しした、私がその話を知ったきっかけ、‘お昼の校内放送’での朗読は、このような形で終幕しているんです。

 

 

 13番目に到着したのは、カエルの親父さんでした。

 彼は家族や彼の一族に見送られ、期待をいっぱい背負ってきたのです。

「神様、どうか私も入れて下さい。
 家族や一族が待っているのです」

 しかし、どんなに頼み込んでも、神様はその願いを聞いてはくれませんでした。
 カエルの親父さんは仕方なく、とぼとぼと帰っていきました。

 

 

 その物語は、ネコが騙される話も含めて、出発から到着まで、それぞれの動物を同時進行で語っていたんです。

 カエルの親父さんがどんなに苦労して神様の元に辿り着いたかも、蕩々と語られていまして。そのためカエルにも感情移入していた私は、

「なんて冷たい神様だろう!
 そのくらい、入れてあげればいいのに」

と、子供心にも非難していました。

 

 まあ、ルールはルール、守られなければならない訳で。
 情に流されては、秩序が保たれなくなってしまう。それも一種の教訓だったのかな、と、今ではそう思っているンですけれどね。

‥‥‥ 少なくとも、
新説を聞くまでは。

 

 

 

 そんなものかと、思いつつ。

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